◆ 求人募集に反応がない3つの理由
「求人募集を出しているけど、ぜんぜん反応がない」
こんな声を中小企業経営者の皆さんからよく聞きます。
給与が低いからだろうか…うちの会社に魅力がないからだろうか…とあれこれ悩まれていますが、悩む前に、まず見直してほしいのが、求人原稿です。
求人原稿を改善するだけで、応募が増えたり、良い人材を採用できる、といったことが実際に起こっています。
社労士として、数々の求人や採用のお手伝いをする中で、求人募集が成功しないのには、大きく3つの理由があることが分かってきました。
理由その① 自社の良さが分かっていない
理由その② 自社にとっての「当たり前」が、求職者にとって「特別」だとは気づいていない
理由その③ ハローワークの求人原稿の型にはめようとする
例えば、こんな事例です。
ある製造業の会社が、工場をきれいにしていることを「当たり前だ」と思い、自社の良さだと認識していませんでした。
しかし、求職者は、きれいな職場で働きたいというニーズを持っています。
そこに気づいておられなったため、求人原稿にも、そのことを記載しておられませんでした。
また、ハローワークの固い求人原稿に寄り過ぎてしまい、会社の特徴がしっかり伝わらないというのも、非常によくあるケースです。
◆ ポイントは「話す」「思い出す」「イメージする」
こうしたことを回避するには、どうしたらいいのでしょうか。
そのポイントが、以下の3つです。
ポイントその① 自社のことを第三者に話す
ポイントその② 自分が就職活動していたときを思い出す
ポイントその③ どんな人を採用したいか具体的にイメージする
それぞれ説明していきます。
①自社のことを第三者に話す
自社のことをよく知らない人に、「うちの会社はこんなことをしている」という話を聞いてもらうと、自分では気づいていない自社の良さや強みが出てきます。
②自分が就職活動していたときを思い出す
就活者の立場に立つには、自分の就活体験を思い出すことが効果的です。どんな内容、どんな言葉遣いの求人原稿に興味を引かれたか、思い出してみてください。
③どんな人を採用したいか具体的に思い描く
これは、広告業界で「ペルソナ」と呼ばれている手法です。採用したい人の家族構成、年齢、住んでいる場所、趣味、スポーツ経験など、特徴をこと細かに挙げていきます。そして、その人に響くような求人原稿を書いていくのです。
◆「何をするか」より「何が得られるか」に焦点を当てる
求職者は、その会社に入って何をするかより、どんな良いことを得られるかに興味があるのです。
例えば、スマホ修理業。
ただ単に「スマホを修理する仕事です」とだけ書いてあると、求職者は、その仕事を通じて自分がどう成長できるのかが分かりません。
しかし、こんなふうに書いてあったらどうでしょうか?
「スマホマイスターになりませんか? バッテリーの持ちをよくする方法が身につき、iPhone修理の技術も身につきます。 それを家族や友人にも教えてあげられます。」
スマホ修理の仕事をすることで、自分にどんな良い未来が待っているか、イメージしやすいと思います。
◆ 採用成功のためにハローワークと交渉も
中小企業の場合、ハローワークに求人を出すことが多いと思います。
ですが、ハローワークの求人原稿は文字数が限られているので、先ほどのスマホマイスターのような原稿を書くと、ハローワークの担当者に「もっと短くしてください。仕事の内容だけ書いてください」と指摘されることがあります。
でも、担当者にいくら指摘されたとしても、「本気で採用を成功させたいんです。だからこの原稿でいきます」と交渉してもいいのです。
私もよく担当者と交渉し、求職者の目に止まりやすい原稿を掲載することに成功しています。
また、これはあまり知られていないのですが、ハローワークインターネットサービスには、写真を掲載することができます。
職場や仕事の様子を写真で伝えれば、「アットホームな職場です」といったことを書く必要がなくなり、文字数を削ることができます。
もし、これらのポイントの中で、1つでもやれていないことがあれば、ぜひ取り組んでみてください。いまよりずっと良い求人原稿ができるはずです。