◆採用が苦痛になる理由
人材を採用したいけど、採用って難しいし楽しくない…。
そんなふうになってしまうのは、以下のようなことが起こるからだと思います。
・採用したがすぐ辞めてしまう
・思っていた人材ではなかった
つまり「採用のミスマッチ」です。
なぜこんなことが起こるのか。
私は思います。
最大の要因になっているのは、「とりあえず求人」ではないかと。
「とりあえず求人」とは、人手不足だから、とりあえず求人を出す。そして、誰でもいいから応募してきた人を採用する。
そうした求人のあり方です。
「とりあえず求人」は、「とりあえず応募」を招きやすい傾向があります。給与や休日などの待遇面だけを見て応募し、ほかに待遇が良い会社が見つかったら応募や内定を辞退する。採用後はすぐに転職されてしまう。そんなことになりかねません。
◆「とりあえず求人」がミスマッチの最大の原因
私は、社長のみなさんには、「とりあえず求人」を卒業し、意味のある求人をしてほしいと思っています。人材に困っているのであれば、なおさらです。
そんな思いから、私は数年前、採用定着士という民間資格を取得しました。効果の出る求人や採用のポイントを学び、生かすことができる資格です。
資格を取得して思ったのは、「求職者の視点」で求人や採用を考えることが重要、という点です。難しいことではありません。シンプルなことを実践するだけで、結果が大きく変わるのです。
そのポイントを、採用のプロセスに添ってお伝えしていきます。
◆成功する採用4つのポイント
①応募
求職者から応募があったら、すばやく返答をする必要があります。ですが、返答文をあらかじめ用意していないと、対応が遅れてしまう場合があります。フォーマットをきちんと作っておくほうが安全です。
また、履歴書を送ってもらうタイミングや方法(郵送かメールか)、面談の日程調整についても準備しておくことをおすすめします。
②面接
面接でありがちなのが、求職者に「詰問」してしまうケース。質問しているつもりが、問い詰めてしまうのです。
面接の場は、求職者にとって「異常な場」です。なぜなら、初めて会った人に、自分の人生のことを根掘り葉掘り聞かれるからです。
相手に自分のことを話してもらうには、まず自分から自己開示する。具体的には、社長自身がいまなぜこの仕事をしているのか、どんな思いで会社を経営しているのか、それを正直に語ることが大切です。
③内定
内定のときにありがちなのが、内定通知を出したことにほっとし、内定者を放置してしまうことです。内定者にもっと良い就職先が決まると、内定辞退ということにもなりかねません。
定期的に連絡をとったり、職場見学をしてもらうなど、入社前からの関係構築が有効です。
できれば、社内イベントを手伝ってもらうなど、当事者として関わってもらうと、会社の一員として認めてもらえている、と内定者に思ってもらえます。
④定着
入社して最初の三ヶ月が、定着するかしないかの分かれ目になります。月1回の面談をし、本人の期待に応えられているかどうかを傾聴するのがおすすめします。
あらかじめトークスクリプト(質問項目)を作っておくと、何を質問していいのか分からない…という辞退を予防できます。
◆まず社長がワクワクすること
以前、こんなケースがありました。
ある会社の社長が、面接に来た応募者に、「前職は何をしていたの?」「なぜうちを選んだの?」と聞く前に、自分がお父さんから会社を引き継いだこと、これからやりたい事業のこと、社内の組織図などを、画像をまじえたパワーポイントにまとめてプレゼンしました。
その上で、「あなたのことも聞かせてください」と言って、応募者の動機や前職などを聞いていきました。
面接が終わったあと、応募者は「こんな面接、初めてです!」と感動したとのこと。そして、その会社で働きたいという思いがますます強くなったそうです。
私は顧問先の社長に、つねづねこうお伝えしています。
「応募者には、2年後3年後の『未来の話』をしてくださいね」
そのほうがお互いにワクワクするからです。
何よりも、社長自身がワクワクします。採用しようとしている人を、未来に向けて育てる楽しみもわきます。
その心の余裕が、採用を成功させていくのです。
◆採用活動には相棒が必要
最後に、もう一つ重要なことをお伝えします。
採用活動は、1人でやらず、相棒といっしょにするのがおすすめです。
相棒とは、採用担当の社員さん、あるいは右腕の方のことです。
応募者とのやりとりは、全部が全部うまくいくわけではありません。こちらから連絡したのに返信がない、内定を断られるなど、さまざまなことがあります。
そんなとき、痛みを分け合えるのが相棒。そして、応募者から反応があったり、採用が決まったときは、いっしょに喜び合えます。
社長がすべてやる必要はありません。仲間といっしょに、採用を楽しんでください。